はじめまして。
平坂寛と申します。
私は生物専門のジャーナリストとして執筆活動をするほか、講演やテレビ番組等への出演を通じて自然とそこに暮らす動植物の魅力を広く紹介していく活動を行っています。
偉そうなこと言いましたが、要は世界各地で珍しい生き物を捕獲し、それを見せびらかして自然ってすごい!生物っておもしろい!と言って回る仕事です。
これまで様々な媒体を活動の場としてきましたが、このところは自然科学に関する情報発信もひとつの転機を迎えているように感じます。
動画サイト、SNSの発達に代表されるようにメディアの在り方が多様化し、作り手もユーザーも模索と選択を迫られているわけです。
正直に言うと、発信者としては選択肢が増えすぎて煩わしく感じられる面もあります。
しかし、やはりこれは好機と見るべきでしょう。
なぜなら自然や生物、そしてそれを取り巻く諸問題に関する情報を多面的に伝達共有する手立てが増えたのですから。
たとえばスポンサーの存在を意識せざるを得ない地上波のテレビ番組ではどうしても「巨大魚!」「激レア!」「猛毒生物!」などなど、派手な画とレッテルばかりが求められます。
また、外来生物という問題を扱うにしてもカミツキガメやアリゲーターガーといった海外原産のいかにも「悪そう」なものばかりが実害の有無にかかわらずフィーチャーされる。
▲アリゲーターガー
一方で国内外来種やそれによる遺伝子撹乱といった切迫した課題は「地味」「伝えにくい」としてほとんど触れられることはありません。言ってしまえば「わかりやすい話」しか放送できない構造なのです。
もちろん、そうした明快な作りのメディアは自然科学や環境問題への間口を広げるという意味でとても重要です。
しかし、これからはより小規模でマニアックな、しかしそれでいて重要な情報を発信できるんですから素晴らしい!
ヤンバルクイナやヤマネコの保護が叫ばれる中、小さなカタツムリやダンゴムシが落ち葉の下で人知れず絶滅の危機に晒さられている。そんな現実を伝えることができるのです。
今後はそうした新しい切り口のコンテンツを、マクロベースという新しい拠点を活用して積極的に作っていければと考えています。
…もちろん、デカくて派手な生物も好きなので、これまで以上にどんどん捕まえますけどね。
そしてもうひとつ。これからは電子情報に飽食し、実際の体験がなによりも重要視される時代です。
実際に自然の素晴らしさに触れたことのない者はその大切さに気づくこともありません。
これからは何百冊の本よりも、何TBの記録よりも、はじめてカブトムシを捕まえた一夏の方が、家族でキャンプをした一晩の方が、人生において優先されるものになってくるだろうと私は考えています。
▲対馬での昆虫観察会
マクロベースでは子どもたちに、あるいは大人にも、そういったかけがえのない自然体験をしてもらうための、橋渡しとしての活動ができればと思っています。
一緒に魚釣りに行ったり昆虫採集をしたりしましょう。ゼロから教えるからさ。
みなさまからのお声掛けをお待ちしています。
▲※東京湾での魚釣り体験会での一幕